オフェンスの基本

オフェンスの究極の目的は得点することです。得点を得る方法と得られる得点は以下の様になります。

名称 得点 得点方法
タッチダウン 6点 敵陣ゴールライン上かエンドゾーン内にボールを持ち込む、 あるいは敵陣エンドゾーン内でパスをキャッチする。キャッチした時、レシーバーの身体の一部でもライン外(アウト・オブ・バウンズ:ライン上も含む)に触れていると無効。キャッチ時、キャッチして着地した時には両足がフィールド内(イン・バウンズ)に残っていなければならない。
トライ・フォー・ポイント (もしくはトライ・アフター・タッチダウン) 1点ないし2点 2ヤードライン上から行われるタッチダウン後のボーナス攻撃に成功することで得点となる。タッチダウンで2点、フィールドゴールで1点。このプレイ中にターンノーバーが起こった場合、相手エンドゾーンへボールを持ち込むことで2点となる。
フィールドゴール 3点 プレースキックによりボールが敵陣エンドゾーン奥に配置されたゴールポストのクロスバーを越える。

以下の場合には罰則として失点(ディフェンス側の得点)となります。

名称 失点 失点となる条件
セフティー 2点 自陣エンドゾーン内でボールを持った選手がタックルを受ける、ボールをアウト・オブ・バウンズに出す等、ボール・デットとなった場合、ないしは 自陣エンドゾーン内でオフェンス側が不正なパスの反則を犯した場合。

オフェンス側の得点後、もしくはセフティーによる失点後はキックオフにより攻守の交代が行われて試合再開となります。

ダウン制

オフェンスの究極の目的は得点することですが、それに至るための基本と言えるのは4回の攻撃(スクリメージ・ダウン、通称=ダウン)以内に陣地を10ヤード(9.14m)前進し攻撃権を更新することです。但し、4回目の攻撃(4thダウン)を失敗した場合、攻守交替後の相手オフェンスの開始位置は4回目の攻撃が終了した地点からとなってしまうため、フィールドゴールが狙えない場合には、通常4回目の攻撃は行わず、攻撃権を放棄する代わりに陣地を回復できるパントを行います。つまり、通常の攻撃は3rdダウンまでにファーストダウンを更新することを目標に組み立てる必要があります。
  オフェンス側が攻撃権を得てからそれを失うまでの一連の攻撃プレイをひとまとめにしてシリーズと呼びます。

ターンノーバー

オフェンス側は必ずしも4回の攻撃権を行使できるとは限りません。ディフェンス側がプレイ中一瞬にしてオフェンス側に取って代わることがあるからです。これをターンノーバーといいます。オフェンス側の選手がボールを落とす(ファンブル)、ディフェンス側の選手がパスを空中でキャッチする(インターセプト)といったプレイがこれに当てはまり、ボールを奪った選手はその瞬間から“オフェンス側のボール保持者(ボールキャリア)”となり、攻撃権を得ます。ディフェンス側となったチームは直ちにボールキャリアにタックルして進行を止めることが必要になります。その後はファーストダウン更新時と同様にその場所から攻撃側(先ほどのプレイでボールを奪った側)に4回の攻撃権が与えられます。ちなみに攻撃側を止めることが出来きず、そのまま守備側エンドゾーンに侵入されればタッチダウンです。
  オフェンス側がファンブルしたボールをディフェンス側選手が自陣のエンドゾーン内でリカバー(ボールを拾うこと)し、そこでボールデットとなった場合にはセフティーとはならず、タッチバックとなります。この後はボールリカバーしたディフェンス側に攻撃権が移り、自陣20ヤードから攻撃再開となります。

オフェンス側の戦略

オフェンス側は自身のオフェンス・ユニットと相手ディフェンス・ユニットの特徴(能力)に加え、ダウン数と残り距離の関係(ダウン・アンド・ディスタンス)、フィールド上のポジション、得点差と時間といったを要素を指標として、プレイを決定することが必要となります。 オフェンス側は敵陣30ヤード付近まで進行すれば4thダウンでフィールドゴールでの得点を見込むことができます。つまり、まずは敵陣30ヤードまで前進出来るかどうかが、攻撃を組み立てる上でのひとつのポイントとなります。

オフェンスの2種類の方法、ランプレイとパスプレイの特徴を比較して見ると下記の様になります。

  メリット デメリット
ランプレイ
  • 陣地が後退する可能性が低く、後退しても距離が小さい。
  • 攻撃権を失う可能性が低い。
  • 獲得陣地が比較的少ない。(平均3ヤード程度)
パスプレイ
  • 獲得陣地が比較的大きい。(平均6ヤード程度)
  • 一気にタッチダウンまで至る場合もある。
  • インターセプトやファンブルでターンノーバーとなる可能性がある。
  • QBサックにより陣地を大きく後退させられる可能性がある。

細かいプレイの種類についてはプレイの種類の項で説明します。

オフェンス・ユニット(タレント)

戦略の根本を成すのは自身のオフェンス・ユニットと相手ディフェンス・ユニットの能力となります。司令塔であるクォーターバックはもとより、最も優れた能力を持つ選手(ベスト・ブロッカー、ベスト・ランニングバック、ベスト・レシーバー)の能力を事前に確認して下さい。また、どこでどのようなディフェンスとのミスマッチ(そのプレイに必要とされる能力の大きな差)が起こるのかを想定し、戦術に組み入れて下さい。

ダウン・アンド・ディスタンス

ダウンの回数と残りヤードの関係をダウン・アンド・ディスタンスといいます。これはオフェンス側の状況を判りやすく伝えるための用語で、1stダウン10(次は攻撃権4回中、第1回目の攻撃でファーストダウン更新まで残り10ヤードである)とか、2ndダウン7(次は4回中の第2回目の攻撃で7ヤード残っている)、と言った使い方をします。時にはクォーターバック・サックや反則等でオフェンス側が後退することもあるので、3rdダウン16(第3回目の攻撃で残り16ヤード)と言った残り10ヤードを越える表現が使われることも良くあります。また、テレビ解説等では2ndダウン・ロングや3rdダウン・ショートといった抽象的な残り距離を表す言い回しもよく使われます。

オフェンスがディフェンスに対してどのようなプレイを行うかとの迷いを与えられる、つまりオフェンスが有利と言える典型的な状況は、第2ダウンで残り4ヤード以内(2ndダウン・ショート)の状況です。この状況では仮に2ndダウンでのプレイが失敗したとしても、後退さえしなければ3rdダウンでの更新に期待が持てるため、思い切ったプレイも可能となり、ディフェンスはあらゆる選択を迫られることになります。これに次ぎ、まだオフェンスが主導権を握っているといえる状況は、2ndダウン・ミドル(2ndダウンで残り5〜6ヤード程度)となるでしょう。3rdダウン・ショート(3rdダウンで残り4ヤード以内)の状況も主導権はオフェンスにあると言えますが、もう後が無い分、より確実なプレー、あるいは得意なプレーに偏る傾向が出てきます。チーム(あるいはプレイヤー)の性格が色濃く反映される部分でしょう。それぞれの局面でより長い距離が残る場合には大きなゲイン(陣地獲得、前進といった意味)を目指してパスを選択する可能性が圧倒的に高くなり、必然的にディフェンスもこれに集中して守ることができます。

プレイゾーン

自陣ゴールラインギリギリ

この位置では下手をするとパントを安全に蹴るための距離すら確保できません。まずパントを安全に蹴られる状況にすることが最低条件です。
  パスプレイを選択した場合、エンドゾーン内でQBサックを受けるとセフティーとなり、相手に得点を与えた上に、攻撃権も奪われます。自ずからランプレイ、それもパワープレイやダイブといったプレイがセオリーということになります。

自陣20ヤード以内(レッドゾーン)

レッドソーン内はミスが即失点に結びつく危険ゾーンです。ファーストダウンの更新が無理でも最低限安全にパントまでつなげて陣地を回復することが求められます。
  ここでは少ない距離でも確実に進むことが出来るようなランプレイが選択されるのがセオリーとなります。

自陣20〜40ヤード

ファーストダウンを更新し、より敵エンドゾーンへ近づくことが求められるゾーンです。ファーストダウン更新が果たせない場合にはパントで陣地回復を図る必要があります。 

自陣40ヤードから敵陣40ヤード

ここまで来るとタッチダウンも現実味を帯びてくる距離となり、プレーの自由度が高いエリアだと言えます。序盤であれば相手の穴を探り合う状況も生まれてきます。 この辺りからは割りと攻撃の幅が広がってくるので、ディフェンスも対応を迫られることになります。
  フィールドゴールを狙うには厳しい距離でもありますので、オフェンス側としてはここを越えて得点圏まで進みたいところです。

敵陣20〜40ヤード

十分にフィールドゴールの狙える距離です。このため残り時間と得点差を考慮したプレイが求められるゾーンです。

敵陣20ヤード以内(レッドゾーン)

ほぼフィールドゴールは確実の状態です。より高得点となるタッチダウンを目指して積極的なプレーを行います。
  フラットゾーン(サイドエンドよりのスペース)を使ったプレイも選択肢に含めてディフェンスの混乱を誘います。ディフェンスはオフェンスの攻撃を短い距離で止めることが必要となるため、瞬間の状況判断と素早い飛び出しが必要とされますので、それを逆手に取ったトリックプレイの効果も期待できる状況です。

得点差とタイムマネージメント

フットボールの試合では決められた時間内に1点でも多くの点を取ったチームが勝者となります。(ゲームでは試合時間はNFLの試合と同じ1Q15分とは限りません。セットアップで設定された時間なのできちんと把握しておきましょう)野球のように攻撃できる回数が決まっているわけではないため、平等に攻撃機会があると言うことにはなりません。このため攻撃権を所持している時間(ボールポゼッション)が大変重要になってきます。攻撃の理想とされるのは十分な時間を掛けて攻撃を行い、キッチリと得点することです。何故なら自分の攻撃時間が長くなれば、その分相手の攻撃時間が減るからです。設定されている試合時間が短い場合タイムマネージメントは特に重要であるといえます。

時間に関するポイントをまとめると以下のようになります。

試合終盤ではオフェンス側は以上のポイントを踏まえた上で得点差を考えてプレイを選択しなければなりません。具体的には下記のようになるでしょう。点差が大きくなるにつれて試合中盤でも終盤での残り時間を考慮したプレイが求められます。

大きく勝っている状況(セーフティーリード)、もしくは勝っていて残り時間を使いきれる状況

ランプレー中心に出来るだけプレイをインバウンズで終了し、時計を止めずに時間を消費しましょう。相手側のタイムアウトを使い切らせることも重要です。ファーストダウンが更新できれば大きく勝利に近づくことになります。残り数十秒以下という時間になれば、ニーダウンで時間を消費することも考慮して下さい。万一僅差で時間が残るような事態になった場合にはパントで十分な陣地を回復することも重要です。

僅差で勝っていて時間が使いきれない場合

得点をして攻守を交代することが最も理想的です。出来るだけ時間を消費した上で、最低でもフィールドゴールを奪えるように努力しましょう。それが叶わない場合にはパントで敵陣深くまで進行することが必要です。相手はタイムアウトを使ってくるでしょうから、意外と時間が残ってしまうことが考えられます。

同点あるいは現在のシリーズで逆転可能な状況で十分な時間がある場合

プレイをコントロ−ルしながら十分時間を使い切り、相手のシリーズに出来るだけ時間を残さない戦略が必要です。タイムアウトを相手に使わせることも考慮しながら慎重に時間をコントロールして下さい。確実に点を獲ることが求められますが、フィールドゴールで良いのか、タッチダウンが必要なのかによりプレイが変わってきますし、負けていればギャンブル(4thダウンでも通常の攻撃を行うこと)も必要になってきます。同点の場合にはパントも重要です。

同点あるいは現在のシリーズで逆転可能で時間が残り少ない状況

非常にマネージメントが難しい状況ですが、得点することが出来ればほぼ勝利が確実です。時間が停止しない状況ではノーハドルでプレイを継続し、作戦変更はオーディブルで行います。タイムアウトを惜しみなく使い、確実に得点を狙いましょう。距離が残っている場合にはパス攻撃が中心となりますが、その際にも時間を止めるため、出来るだけサイドラインの外にフィニッシュすることが必要です。また、攻撃権(ダウン)の残りが時間に比して多い場合には時間を止めるためのスパイクも上手く使用しましょう。

逆転にもう1シリーズ以上が必要な状況

相手の攻撃時間を考慮しても尚、次の攻撃シリーズに必要な時間を残せるように、出来るだけ時間を消費しない攻撃(パスが中心)でタッチダウンを獲得することが必要です。時間が停止しない状況ではノーハドルでプレイを継続し、作戦変更はオーディブルで行います。タイムアウトを上手く使いましょう。4thダウンでは常にギャンブルを行うことになるでしょうから、攻撃権は4回あると思ってプレイして構いません。