新パラメーターの考察

特集企画の第一弾はNBA2K8から新しく設定されたパラメーターの意味の考察です。今作ではNBA2K8に比べて選手の動きに個性が強く反映される様になっていますが、それを実現している要因の一つがこの新パラメーターだと思われます。ということで、新パラメーターの意味を探ってNBA2K8がどういった点でリアルになっているのかを考察してみたいと思います。但し、この考察はあくまで個人的な推測に基づいて行っていますので、何の確証もありません。間違ってるかも知れないと言うことをご承知の上でご覧下さい。

追加パラメーターの確認

まずNBA2K8で追加されている選手能力パラメーターを見てみましょう。新パラメーター以下の通りです。

  • Strength(STR)
  • Vertical(VERT)
  • Shoot off Dribble(SOD)
  • Shoot in Traffic(SIT)
  • Quickness(QUI)
  • Hustle(HUS)
  • Hands(HND)
  • On Ball Deffense(DEF)
  • Standing Dunk(STDNK)

実際の選手パラメーターの比較

パラメーターの名前だけではあまり意味が解らないので、あるていど推測して、その能力が高そうな選手(主にスタープレーヤーばかりになりますが)を一覧にして比較してみました。参考に選手のポジション(POS)とOverall Rating(RAT)も載せておきます。選手はRAT順に並べてありますので、上の方は総合評価ランキングとしても使えますね。

代表的な選手とその能力値
選手 特徴 P
O
S
R
A
T
S
T
R
V
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R
S
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I
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N
D
D
E
F
S
T
D
ダンカン ティム・ダンカン

オフェンス、ディフェンスともポストで絶対の存在感と安定感を示す歴代NBAでも最高クラスのPF-C
PF 98 73 60 84 99 64 87 90 69 99
コービー コービー・ブライアント

オフェンス、ディフェンス、身体能力全てに優れた現役最強選手。作期は2年連続の得点王に輝いた。
SG 98 75 96 99 99 96 90 99 91 75
ガーネット ケビン・ガーネット

サイズと俊敏さを併せ持つインサイド最強プレーヤーの一人。シュートレンジも広い。昨期の平均リバウンドと、ダブルダブルの回数はNBA1位。
PF 97 75 79 85 99 70 90 97 70 99
レブロン レブロン・ジェームス

キングの異名を取るNBAの若きトップスター。恵まれたサイズと強靭さ、高い得点能力を併せ持つ上に、自己中心的なプレーを嫌い、パスもさばく。
SF 97 86 97 92 99 92 80 98 82 75
ウェイド ドウェイン・ウェイド

「フラッシュ」の異名が示す通り、電光石火のスピードを誇るNBA屈指のスラッシャー。
SG 97 84 96 97 99 98 97 97 82 75
アリナス ギルバート・アリナス

NBA屈指のクラッチプレイヤー。スピードがあり、どこからでも得点できる。スタイルに偏りもあまりない。
PG 96 64 88 99 99 97 77 97 75 50
ナッシュ スティーブ・ナッシュ

一昨年、2年連続のMVPを獲得した現在NBA No.1と目されるゲームメーカー。テクニカルシューターでもある。
PG 96 60 73 98 99 92 89 99 77 50
アマレ アマレ・スタッダマイヤー

最高の素質を持った若きインサイドプレーヤー。オフェンス、ディフェンスともすでにトップレベルの成績を残しているがまだまだ伸びしろがありそう。
C 95 88 82 72 97 71 79 93 67 99
ノヴィツキー ダーク・ノヴィツキー

7フッターとは思えない巧みなボール捌きと広いシュートレンジを誇る、昨期のシーズンMVP。
PF 95 70 60 98 97 62 72 72 87 75
メロ カーメロ・アンソニー

サイズがあり、強さ、上手さ、俊敏さを兼ね備えた次代を担うNBAきっての得点マシーン。昨年の平均得点第2位。
SF 94 76 90 95 97 90 96 97 75 75
T-MAC トレイシー・マグレディ

類稀な身体能力を持つ天才フォワード。ここ数年ケガに苦しむが、得点を量産できる能力は保持している。最近はチーム優先を掲げアシストも伸ばしている。
SF 93 69 90 90 93 94 76 96 86 75
AI アレン・アイバーソン

どこからでもスピードとクイックネスでボールをゴールに運ぶスコアラー。日本での人気も絶大。
SG 93 61 82 90 99 99 99 99 86 50
デイビス バロン・デイビス

昨期ブレイクしたウォリアーズの司令塔。プレーオフではマブス相手に劇的なアップセットを演出した。昨年のスティール王。
PG 93 73 86 97 97 94 76 99 82 75
ヤオ ヤオ・ミン

NBA最高身長を誇る中国出身のセンター。年々力をつけており、得点力も大幅に向上させてきている。高さがあるのでブロック、リバウンドも強い。
C 92 72 50 68 95 50 70 88 50 99
ボッシュ クリス・ボッシュ

インサイドからミドルレンジにかけての攻撃力はリーグ屈指のPF。年々能力を上げてくる未完の大器。
PF 92 71 72 83 94 69 72 86 61 99
キッド ジェイソン・キッド

ミスタートリプルダブルの異名をとるベテランPG。パスが上手く、肉体も強靭で、このサイズとしては驚異的なリバウンド数を誇る。
PG 92 70 78 72 83 90 90 99 97 50
マリオン ショーン・マリオン

高い身体能力を生かしたオールラウンダー。リバウンド、スティールともうまい。
SF 92 73 97 82 95 77 73 88 86 99
レイ・アレン レイ・アレン

現代屈指のピュアシューター。美しいシュートフォームから繰り出される3Pシュートが武器。
SG 92 71 87 99 93 89 72 96 80 75
ブランド エルトン・ブランド

PFとしてはやや小柄なもののオフェンス、ディフェンス共に優れた活躍を見せるクリッパーズのエース。今期はケガで出遅れが確実。
PF 92 82 68 81 98 69 91 88 68 99
ガソル パウ・ガソル

スペイン出身の7フッター。ポストプレーヤーとしてはNBA屈指の実力を誇るが、昨期はケガで出遅れたものの、アベレージはキャリハアイをマークした。
C 91 71 58 62 96 65 82 86 64 99
クリス・ポール クリス・ポール

次代を担う若手PGの筆頭格。非常にクイックネスでボールハンドリングも上手い。
PG 91 60 81 77 91 95 88 98 82 50
ハワード ドワイド・ハワード

高さとスピード、力強さを兼ね備えた次代のトップセンター候補。リバウンドの成績は昨期全体3位。
C 91 93 86 56 84 66 84 88 67 99
ピアース ポール・ピアース

高い得点技術を持つスコアラー。身体能力よりはレンジの広さとテクニックで得点を挙げるタイプ。
SF 91 70 73 94 97 79 79 93 75 75
ブーザー カルロス・ブーザー

ゴール下の混戦に強い、屈強な正統派パワーフォワード。昨期のジャズ躍進の立役者の一人。
PF 90 90 68 72 96 67 84 84 67 99
ジャーメン ジャーメン・オニール

どちかというとテクニック型のインサイドプレーヤーだが、真っ向勝負も好む。最近はケガで振るわず。
PF 90 73 64 82 97 66 79 88 69 99
ウィリアムス デロン・ウイリアムス

ジャズの若き司令塔。作期アシスト数はナッシュに次ぐリーグ2位。体も強靭。
PG 90 62 79 89 92 93 86 97 86 50
パーカー トニー・パーカー

NBA屈指のスピードを誇るスラッシャー。作年のファイナルMVP。フランス出身。
PG 90 56 84 73 90 98 79 95 82 50
カーター ヴィンス・カーター

桁外れの跳躍力と滞空時間でダンクばかりが目立つイメージだが、スタイルはシューター寄り。
SG 90 71 98 89 92 91 66 90 74 75
ビラップス チャウンシー・ビラップス

PGとしては十分なサイズを持ったシューター。ビックショットを連発するNBA屈指のクラッチシューターでもある。
PG 89 78 79 95 93 90 78 94 86 50
キャンビー マーカス・キャンビー

昨期のリーグ最優秀ディフェンス選手。ブロック1位、リバウンド5位。
C 88 74 65 57 81 56 83 81 68 99
シャック シャキール・オニール

インサイドでパワーを爆発させる怪物。意外にポストでのテクニックも豊富。ここ数年はケガもありリバウンド、ブロック共にアベレージが低下。
C 87 99 51 54 94 57 64 88 57 99
アーティスト ロン・アーティスト

ディフェンスのスペシャリスト。毎年スティール王争いの常連。
SF 86 94 74 77 86 74 97 78 90 75
ベン・ウォレス ベン・ウォレス

ビックベンの異名を持つ、インサイドディフェンスのスペシャリスト。昨期は成績を落としピークを越えた感があるが、それでもリバウンド6位、ブロック10位。
C 84 95 76 53 56 66 99 64 70 99
ジョシュ・スミス ジョシュ・スミス

すさまじいまでの身体能力を持つNBA屈指のアスリート。リバウンド、ブロック、スティールも上手い。05年のダンクコンテスト王者。
SF 84 72 99 79 83 81 89 73 80 99
リチャードソン ジェイソン・リチャードソン

高い身体能力を持つ03年のスラムダンク王。今期からボブキャッツに移籍。
SG 84 67 95 82 79 86 70 80 72 75
ボーエン ブルース・ボーエン

ディフェンスのスペシャリストでダーティーな仕事もいとわない職人。
SF 79 68 82 67 61 79 93 84 90 50
キリレンコ アンドレイ・キリレンコ

ボールに対する天才的ディフェンス能力を持つ選手で、ブロック、スティールのアベレージも高い。
SF 77 67 77 68 76 77 87 78 87 75

パラメーターの意味の考察

Strength(STR)

Strengthは直訳すると「強さ」ということになります。パラメーター数値の高い選手を見るとシャックがMAXの99、続いてウォレス、アーティスト、ハワードと屈強な選手が続きます。レブロンやウェイドも高いところを見ると、接触プレーに対する強さだと思われます。

この数値が高い選手は例え相手にぶつかるようなシチュエーションでも、当たり負けせずに自身のプレーを遂行しやすいと言うことでしょうか。主にオフェンスで重要かと思われますが、ブロックの成功率やディフェンスのポジション取りにも関係あるのかも知れません。

Vertical(VERT)

Verticalは「垂直」「縦」と言う意味です。高パラメーターの選手にはジョシュ・スミスの99の他、軒並みアスレチック能力の高い選手が名を連ねています。仮に、単にジャンプの高さだとすると、他の能力値と比較して何の意味があるか判らないので、おそらくは、縦の動きのスピードと到達点と言う意味で設定された能力だと思います。後から跳んでも強いのかも知れません。

Shoot off Dribble(SOD)

Shoot off Dribbleは「ドリブルからのシュート」と言う意味だと思います。ゲームではドリブルからのジャンプショットの成功率に関係すると思われます。バスケットでは一般的にドリブルからのジャンパーよりはセット状態でパスを受けてのジャンパーの方が、確率が高いとされていますので、ドリブルからのジャンパーも上手い選手と言うのは優秀なシューターと言うことになります。パラメーターの能力がMAXの選手を見てもコービー、アリナス、レイ・アレンと納得の顔ぶれです。

Shoot in Traffic(SIT)

Trafficと言うのは日本語に直訳すると意味が通りにくいような気がしますが、「密集地帯を通り抜ける」といった状況を示す言葉のようです。Shoot in Trafficとなると、「密集地帯を通り抜けてのシュート」ということになり、この言葉から推測されるのはスラッシャーとしての能力です。パラメーターを見ると、確かにスラッシャーが軒並み高い数値を示していますが、インサイドでシュートの上手いポストプレーヤーも軒並み高い能力になっています。こうしてみると、やはりゴール下でマークされた状態でのシュートの上手さと言う要素も多分に含んでいるようです。

Quickness(QUI)

Quicknessは日本でも割と一般的に使われる言葉で、「敏捷性」と言う意味です。日本的にはある意味「速さ」というのも含まれるでしょうか。MAXの99はアイバーソン、続く98にパーカーとウェイドという状況から見てもおおよそ想像がつきます。

ゲームではスピードのパラメーターは別にありますので、移動速度ではなく、例えばスピンやクロスオーバーなどの選手のモーションの速さを現しているものと思われます。

Hustle(HUS)

Hustleは判断の難しい言葉ですが、「張り切る」と言う意味だと、Awareness(意識)やTendencies(傾向)の各パラメーターで表現すべきものになりますので、ここではそのままは当てはまらないと思われます。

能力の高い選手を見てみると、アイバーソンとウォレスが99、その他オフェンス、ディフェンスのスペシャリストとも高い選手が多く居ます。顔ぶれを見る限りまず、一つの可能性として、相手を追いかける能力、追従性というのが考えられます。

もう一つ妥当なものとして推測されるのが「押し合い、競り合い」です。要はマッチアップ時に相手を押し込む能力、あるいは押し込まれない能力やカバーリングする能力と言うことになるのですが、オフェンスを含めるとボーエンの数値が高すぎる気がしますので、ディフェンスにだけ影響する能力かも知れません。

Hands(HND)

これも判断の難しいパラメーターです。名前から見るとディフェンス時のハンドチャックの上手さかとも思いましたが、実際に数値の高い選手を見ると多分違うと思われます。この数値が高い選手はパスの得意なエースPGとスラッシャー、ポストプレーヤーと多岐に渡ります。顔ぶれを見ると何となくのイメージですが、オフェンスにおける手の使い方の上手さの用に思えます。これが高いと、無理な体勢からでも手を上手く使ってパスやシュートができる、とう感じです。

On Ball Deffense(DEF)

On Ball Deffenseという言葉は、そのままバスケ用語にも存在します。これはボールに対するディフェンスと言う意味で対照的な言葉としてはフィジカルディフェンスというのが挙げられるかと思います。ゲームでは多分、ドリブルで抜かれそうな時や、シュートに来られた時のボールに対するチャックの上手さに関係すると思われます。また、もしかすると、これが高いとドリブルを止め易くなるのかも知れません。

Standing Dunk(STDNK)

Standing Dunkは、「立ち状態からのダンク」と言う意味だと思われます。もっと具体的には走りこまずにつっ立った状態から垂直に跳んでのダンクと言う意味でしょう。パラメーターは99、75、50の3種類しか割り振られておらず、あまり大きな意味のある物ではないと思います。これが高いと、ゴール下でスタンディングから豪華にダンクを決めることが出来る、と言う感じだと思います。

まとめ

こうしてみると、やはりNBA2K8では選手の個性が強く反映される形となっており、ユーザーのプレースタイルもこれに合わせたものが求められるようになっているようです。選手ごとの能力を見極めてスラッシャーとして使うか、シューターとして使うかを考えながらプレーすると面白いかもしれません。

また、目立ちませんが、ディフェンスの能力についても個性が出るようになっているようです。これもオフェンス能力と同様に非常に重要な要素です。マッチアップを変更して、ディフェンスの優れた選手で相手のエースを封じることができれば試合を有利に展開できるでしょう。

NBA2K8は2K7より難しくなった、あるいはダンクなどが決まりづらくなったと感じられると思いますが、パラメーターに含まれる意味を読み取れば、「このマッチアップならば、強引に行っても決められる」「ここは無理をしないほうがいい」といった判断が上手く出来て、思い通りの展開が創れる様になるかも知れませんね。